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アフガニスタン特派通信1―2008年9月28日

 9月26日の夜11時過ぎにイスラマバード空港に降りました。カーブルへの乗り継ぎが3日後なので若干の用足しにそのまま車でペシャワルに向かいました。20日首都イスラマバード中枢部に位置するマリオット・ホテルが爆破されるという事態を見てもわかる通り、パキスタン情勢は極めて緊張の度合いが増しています。ペシャワル会の伊藤さんがジャララバード(東部アフガニスタン)で亡くなってからひと月が過ぎますが、これもまたパキスタン情勢と無関係では無いと思います。現在のペシャワル市内ではいわゆる観光客の姿はほとんど見かけません。ペシャワルで幾人かのパシュトゥンの友人と意見を交換しました。そこで今回のマリオット・ホテルの件についての幾つかのストーリーを聞いた訳ですが、その一つに興味深い話がありました。マリオットの件は極めて衝撃的な事件だが、タリバンのテロという意味からではなくパキスタンの国家的な存亡に関わる問題を孕んでいる、という見解です。
 彼はザルダリ政権に一片の力量も無いとしつつ、米国とパキスタン軍部とりわけISI(統合情報部)との亀裂がマリオット事件を生み出したと言います。この間米国大統領は米軍にワジリスタン(パキスタン領土)に対する公然たる侵犯を許可しました。ISIは猛然たる反抗を示した訳ですが、米国の決定は次期大統領になっても変わらないでしょう。ここにパキスタンにとっては主権国家としての重大な問題が発生しています。問題はそこにあります。マリオット・ホテルはイスラマバードにおいては米国そのものです。アンバランスな同盟者同士の緊張極まった事態のなかで、より下位のパートナーが「米国人の被害者が極めて少ないマリオット・ホテル爆破」を生み出したということです。
 米軍・米情報部に対して下位のパートナーであるISIは主観的にはパキスタン愛国者です。アフガニスタン・パキスタンにおいて、「米国発のテロとの戦い」という題目の裏側でテロリスト抵牾を育成管理してきたのもISIであるに違いないと思います。それは破産国家パキスタンの経営にカンフル剤を打ち込んできたともいえます。「パキスタン大統領の反テロのリップサービス」と一対になって「破壊実行の謀略」を担ってきたのがISIなのかも知れません。そうであれば大変恐ろしいことです。
80年代反ソヴィエト・アフガニスタン戦争で培ってきたノウハウを有効に活用して、タリバン政権を影でサポートしてきたISIの「工作力」は強力です。カシミール・ジハードは芳しくありませんが、アフガニスタンにおける反ソ・ジハードそしてタリバン政権まではISIは比較的に上手くやってきました。そして9.11以降タリバン政権崩壊という調整を経て対テロ戦争に巧妙に同調してきたISIのしぶとさはクレバーそのものです。新たなる世界的な大局変化を迎えている現在、パキスタンの暗部に深く浸透している彼ら前途は、かつてない大きな岐路に立たされているのかも知れません。現況を表すならば「タリバンはISIではない、しかしISIはタリバンの亡霊を創作することができる」というところでしょうか。
これに関連していることですが、パキスタンはいつもインドの動きを気にしています。時には過剰ともいえる反応を示します。インドはアフガニスタンでの活動を強化している訳ですが、パキスタンはそのことに非常に神経を尖らせています。とりわけアフガニスタン国境(デュランドライン)付近におけるインド機関の工作に対して脅威を感じています。北部パシュトゥン部族地域の混乱にインドの影を見ている人は多いようです。それが実体なのか、亡霊なのか、吟味せねばならぬところだと思います。
明日はカーブル行きのフライトです。アフガニスタンの情勢も良くないと聞きます。今回の旅はアフガニスタン北部のトルクメニスタン国境沿いの村です。北部国境の河=アムダリア南岸のトルクメンの村が目的地です。在東京のアフガニスタン大使館に勤務するパシュトゥンのBさんは「昔のアフガニスタンとは違いますからそんなところに絶対に行ってはいけない」と言いつつもビザをくれました。しかし私は窓からアムダリアが見える絨毯織りの郷に行こうと思います。

28sep.2008安仲卓二(パオ代表)
2008年10月14日(火)  

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2008年10月14日(火)
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